屋根葺き替えのお手伝い
03/09/07
集落内で屋根の葺き替えがありました。
北面だけ18年ぶりの葺き替えです。
在原では通常、屋根葺き職人に依頼していますが
「今回は自分たちでやってみよう!」と挑戦してみました。
昔は村人総出で葺き替えしたそうです。
僕は屋根葺きの手順を知りたかったので
解体から最後の刈り込みまで非常に勉強になりました。
下から解体しながら葺いていく | 作業風景 | あとは刈り込むだけ! |
家の持ち主は、集落内で蕎麦屋を経営する池田さん(65歳)という方です。
池田さんはほんとにパワフルな人です。
農業もする、炭焼きもする、簡単な小屋も建てる、夜はマキノ駅前の飲み屋(年中無休!)の主人になります。
冬は銃を担ぎ雪山の中を何日も猪を追います。
そして今度は屋根葺きに兆戦です。
口癖は「人間はその気になったらなんでも出来る、どうってことない」です。
まさに百姓と呼ぶに相応しい方で、彼の手は数々の困難を乗り越えて大きく、荒々しく、節太くなっていました。
在原の昔話もいろいろ聞かせてもらいました。
道路が開通するほんの十数年前まで在原は陸の孤島でした。
それでも昔はなんでも揃ったそうです。
ヤギもいれば牛もいた、山に入れば鳥もいるしウサギもいる。
炭も焼き、完全な自給自足でのんびりと生活してたそうです。
「金儲け始めてから、逆に生活がしんどなってきたわ。昔の方が面白かった、昔に戻りたいのう」
笑いながら池田さんが言った言葉が印象的でした。
屋根の上から僕の家を見る | 完成! |
今回の工事の指導役は30年ぶりに屋根葺きをするという75歳のおじいちゃんです。
足場を使って屋根に軽々と登っていきます。
暑い中一日も休まず、本当にタフで、いつも酒クサイ(笑)おじいちゃんです。
後で聞いた話しですが、彼の右ひざから下は義足だそうです。
若い時に工事現場でワイヤーが足に絡まって右足を失ったそうです。
その他、数々の修羅場の話を聞きました(よく生きてるなーっ!?って感じです)
驚きと共に、そういったことを感じさせない明るさと元気さ、彼の人間の深さに感動して涙が出ました。
7日間も共同作業していると妙な連帯感が生まれて
完成後の打上げでは、いたく感動をしました。
昔の人はこうして、お互いに喜びや苦しみを分かち合い
おもしろおかしく生きてたんだなぁとしみじみ考えました。
追伸:みなさん「つちのこ」って知ってますか?
伝説の生き物らしいですが、在原のお年寄は昔、山仕事中に「つちのこ」を普通に見てたそうです。
「五八寸(ごはっすん)」と呼ばれてました。
直径が五寸(15cm)、長さが八寸(24cm)のヘビのような生き物だそうです。